お腹の中で「違うと思う....」とつぶやきながら
(店員さんも仕事とはいえ、ご存知ないことは多いです)
どうしても見逃せず、僅かな量でしたがカットして頂きました。
(今回Parisで見つけた布)
全体的に柔らかい優しい雰囲気。
色柄も、いつも南仏で見る有名各社の布のような
主張の強さや、印度更紗の型押しの風情はあまり感じられません。
(南仏のles indiennes de Nimes 社の布)
帰国後、調べてみたら
行き着いたのはオランダのデザイナーさんのHP。
オランダ製のプロヴァンス柄を見たのは初めてでした。
そもそも、布・柄・プリントに
「プロヴァンス」と付くからコトが複雑になります。
プロヴァンスプリントの源流は印度更紗。
16世紀あたりから
いわゆる、あの「東インド会社」の時代、
ヨーロッパに印度更紗が交易品として入ってくると、あれよあれよと爆発的に流行。
フランスでも各階層にもてはやされ、
その後、プロヴァンス地方のみならず
フランスの北から南まで、各地で活発に生産されていました。(...見ていたように言いますが)
ただその時
マルセイユという大貿易港のおかげで
インドや中近東から染めの技術がいち早く入ってきた事が
南仏での更紗の生産を一層盛んにしたようです。
しかし、地理か世界史で習ったように
フランスといえば絹と毛織物の国。
大流行の綿織物で圧迫された絹毛織物生産者は黙っちゃいません。
1686年に印度更紗の輸入と国内生産が禁止され
失業したフランスの更紗職人たちは
仕事を求めてスイス・オランダなどの隣国に分散してしまいます.....
なので
「プロヴァンスプリント」と呼ばれてはいますが、
もともと南仏だけの特産品というわけではないのです。
ただ、20世紀になって
衰退した仏の更紗産業を復興・確立したのが
南仏・タラスコンの「ソレイヤード」社だったことは
「仏の更紗=プロヴァンスプリント」という意識を人々に定着させたかもしれません。
今回見つけたオランダの布が
もともとオランダに直接輸入された印度更紗の流れなのか
フランスから移り住んだ職人さんの流れの布なのかは
もちろん分かりません。
でも頭の中でしか知らなかった歴史が
自分の手元にほんの一部転がり込んできた
楽しい経験ではありました。
マニアックな話で、引いてしまった皆さん、ごめんなさい。
何でも知っているかのように書いてしまいました。
K柳徹子さんが黒船は見てないように
わたしも読み聞きだけで 見てはいません。