fukusa
 
無いなら無いですむものです。
そして自分のことながら日本人っぽい発想だなと思います。
 
お出掛けの途中で投函する手紙
今日、誰かに渡さねばならない大切なものが入った封筒
「折り曲げないでください」と訴えてくる振込伝票
 
それなりに気を付けたつもりでも、最後の最後にシワにしてしまい
醸し出される「雑に扱った感」に違うんです違うんですと心で言い訳しながら
「....でも...投函してしまえば後は...」とポストに罪を負わせるささやかな後ろめたさ。
自分用を作ったのはそれがきっかけでした。
 
プラスチックの板を入れた薄いドキュメントケースです。
ふたになる部分には板が入っていませんので、少々厚みがあるものでもくるめます。
 
収納するものはひとそれぞれ。
わたしのfukusaにも、
展示会の時は布の説明カードや名刺など、ひとさまにお渡しする紙類一式が。
便せん、封筒、切手、修正テープ、書き易いペンを入れて、ベローチェでガッツリ手紙を書いたり。
海を渡って遠くへ行くものが入る日もあれば、
明日の暮らしのための振込票が入る日もあります。
 
ある時、イベントでお世話になった方から、最後にお手紙をいただきました。
「電車の中で読みますね」と、本当に無意識にfukusaを開くと
「....そうやって使うんですね」と仏さまのような笑顔で言われ
作った本人が不意をつかれて「そ、そうなんです」とドギマギした事もありました。
 
何が入り何が出て行くにしても
「ふくさ」という容れ物が持つ思いをもって包めば、
それ以上のものが伝わるような気がしています。