父のひとこと
 
特にファンというわけではないけれど、
何となくシンパシーを感じる光浦靖子ちゃんが
先日テレビで話していたことにギョッとした。
「昔、父が、ちょっとお酒なんか飲みながら
 『 やっちゃんは〜う〜ん器量が悪いから〜勉強...がんばらなくっちゃね〜』
 なんて言ってました。」
おいおい。わたしもソレ言われた。高校の時父に。
「あっこちゃんは器量がいいわけでもなんでもないから、頭で勝負しなさい。」
 
 
    やっちゃんは器量が悪いから勉強がんばらなくっちゃね
 あっこちゃんは器量がいいわけでもなんでもないから頭で勝負しなさい
 
 
うちの父の方が若干トゲを感じないではないが、
なんだろか、これ。二度ある事は三度ある。二人いる該当者は三人いる。
珍しくはない、父親ならではの愛あるお節介だろうか。
当時の父はコワい存在だったけれど、
「...親に言われたらお終いやね」と言い残して
わたしは二階の自分の部屋に上がったのをおぼえている。
親だけは、子どもの事は可愛いと思っているというのは言い伝えか。民話か。
でも、随分大人になってから、
父親としてというよりも男の視点で
娘の将来を案じた一言だったのではないか、と
現実にてらして自分なりに納得した。
 
母は、おおかたいつも、父の横にいた。
その件に関しては何のフォローもないままン十年経っている。
つい最近、ポロッと何かの話題の折りに、わたしはコボしてしまった。
「やっぱり女はミテクレが物を言うよね〜。...あぁあたしには...せちがらい〜」
母が黙っているので
「お母さん、こういう時はホラ何か...」と言葉をうながすと
読んでいた新聞から目も上げず、終わりかけの歯磨きをしぼりだすように
「......あっこちゃんには......才能がある.....」
 
ちがうやろ〜そこは「あっこちゃんも可愛いよ〜」って親バカの
出番やろ〜
 
母は「それもあったか!」とハッと表情を変えた直後に
肩をゆらして ヒッヒッヒッと笑い出し
いつまでも 魔女のようにヒッヒッひとり受けている母を残して
     もちろんわたしは二階へ上がった
 
 
P.S.   「才能がある」も立派な親バカです。
 
2009年 4月 9日